20代のころの演奏会で
シューベルトの最後のピアノソナタ作品960 変ロ調を弾いたとき
雑誌の批評欄に
「音は大変美しいが 音楽の内面にまで踏み込めていない」
と載ったことがありました。
私としては音が美しかったと褒めてもらえただけで満足でしたし
踏み込めていないと言われれば そうかも知れないなとも思いましたが
当時の私には精一杯の演奏でした。
音楽家やほかの芸術分野でも
年を重ねるごとに「円熟味を増した」とか
「深みが増した」などと評されることが多いですが
それは経験を重ねて上達したということかと思います。
プロフェッショナルとしては
「二十歳を過ぎたら何でも弾くべき」
と思っていますが 練習中の生徒の発表会の演奏曲には
個人的に年齢制限を設けているものがあります。
たとえば どんなビギナーでも
メリーさんのひつじを弾くのは
5歳まで。
年長さん以上には 他の曲を探して弾かせます。
易しくても可愛いすてきな曲はたくさんありますからね。
また 発表会ではどんなレベルの生徒でも
6年生はショパンを弾いてもらう と決めています。
明るめのワルツ 遺作のポロネーズ
3つのエコセーズ あたりですが
ワルツでもこのワルツは絶対に弾かせない
という曲はありますし
ノクターンや即興曲なども小学生には弾かせません。
たとえ弾くことが可能であったとしても
私は選曲しません。
湯山昭さんの作品も好きですが
お菓子の世界や子どもの国などからは
小学校5年生までと決めています。
私のお教室では オーディションやコンクールには対応していませんので
(ABRSM王立音楽検定を除く)
年に一度の発表会が一大イベントとなります。
中学生や受験を控えた小6は
勉強・部活・塾・他の習い事などとも並行して
ピアノも練習することになるので
すでに来年3月の発表会に向けて練習を始めています。
それぞれに年齢に見合っていて
練習する本人達が 楽しんで練習に励むことができるステキな曲を
時間をかけて自分のレパートリーにします。
弾ける曲を選ぶより 少し背伸びしても
がんばりたいと思えるようなステキな曲を選ぶことが
生徒の成長にもつながります。
3月の発表会で難しい曲をがんばった生徒たちは
ぐんと力を付けましたので
また来年に向けての選曲も楽しみです!